浜離宮朝日ホール|朝日ホール通信

1992年オープンの室内楽専用ホール。特にピアノや繊細なアンサンブルの音色を際立たせる設計でその響きは世界でも最高の評価を受けています。


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©EPRClassicsひとりの人間がこの世の抑圧から脱しようとする試みディートリヒ・ヘンシェルシューベルト「冬の旅」2020年2月にシューベルト「美しき水車小屋の娘」のリサイタルと、札幌交響楽団との共演によるマーラー「亡き子を偲ぶ歌」を披露して鮮烈な印象を残した現代屈指のバリトン歌手。古楽から現代音楽まで幅広いレパートリーを誇るディートリヒ・ヘンシェルが今年10月、盟友であるピアニストの岡原慎也と再びタッグを組み、“歌曲王”不朽の名・連作歌曲「冬の旅」に挑む。時の私にとって生まれて初めて知る感情だったのです。その後、人生経験を積んでいろんなことがわかってきましたが、音楽を使って真実を伝えていることに、今なお新鮮な感動を覚えます。この作品で語られる感情はあまりに包括的であらゆるものを含んでいるので、それぞれが自分のことのように共感でき、聴くたびに何度でも心を激しく揺さぶられるのだと思います」「最初に『冬の旅』を聴いたのはペーター・シュライヤー(※1935-2019マイセン生まれ、リリックな声で人気を集めたスター・テノール)の演奏会で、思春期まっただ中の私にとっては衝撃的な体験でした。主人公が作品の中で投げかけてきたものは、当シューベルトが死の前年に完成させた「冬の旅」は、同じヴィルヘルム・ミュラーの詩に曲がつけられた「美しき水車小屋の娘」が民謡風の明るさに包まれているのに対して、孤独感と陰鬱さが漂い、恋に破れ、ひとりで冬の荒野を旅する若者の姿が描2


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